
ひと夏のロストバージン♪ 世界初の「カレー釜めし」 釜めし ビクトリア(中央区天神)
1954年創業の釜めし専門店
福岡市中央区天神のど真ん中にある新天町商店街。
その一角に「ビクトリア」はあります。
福岡で初の釜めし専門店です。
ちょっと前にポテサラの話は書きました。
それ以来の、久しぶり”ビクトる”ことに。
それはクイッターズのライター河野彩香との「約束」を守るために。
と言えば「なんだか感動ストーリーがありそうだなぁ」なんて、
行間を読んでしまいたくなるパーティーピーポーも多いかと思いますが、
はっきり言って、
裏切ります。
土用の丑の日アラウンド
きっかけは平賀源内。
コトの発端はある7月中旬の水曜日の正午前だ。
そろそろランチに出掛けようとソワソワしたときに、
たまたま近くにいた彩香と目が合った。
「くりしんさん、この前、約束しましたよね?」
「なに?」
「ほら、たまにはぜいたくな昼飯でも食べに行こうって」
「ああ、言った気もするし、言ってない気もする」
「(スルー)昨日ぅ、汐里ちゃんとビクトリアに行ったんですよぉ」
「へー、そうね」
「そしたら、季節限定でうなぎ釜めしが出てたんです」
「へー、ヘビじゃなくて?」
「(スルー)うなぎ釜めし、1980円するんです」
「まあ、安いほうやない?」
「ええっ!!ランチですよ?ランチに2000円ですよ」
「まあね、あなたたち若い女子は出してパスタランチ1280円ぐらいか。ちょびっとサラダには市販のドレッシングがたっぷり。メインのパスタは中央が凹んだ皿にちょっと盛られてるようなやつ。それでアフタードリンクとか、ドルチェとか選べてその値段ってかんじやもんな。でもさ、家族のために働くジャパニーズサラリーマンなんてランチには出せて800円ぐらいやん。その日は食後の缶コーヒーは買わんとばい。どうしてこんな世の中になったっちゃろうねぇ」
「わかりません。ビクトリアにはうなぎ釜めしがある。それが重要です」
「ふーん、そんなに食べたいなら食べたらいいやん」
にこっ。
メッシー(死語やなたぶん。サッカー選手じゃないよ)ゲットを企む女子の必殺技”微笑み返し”。
彩香の微笑みは、例えるなら弥勒菩薩像、半跏思惟像のアレ。
アルカイックスマイルである。
信心家のオイラはインターンの女学生も連れて”ビクトる”ことに。
にやつく彩香、くりしんを走らす!
ランチはこんなお得なセットがあるんです。
ハタチの女学生は、
「悩みます。どうしよう。悩みます。う~ん」
と言いながら隣の女子をうかがう。
「彩香先輩は何にするんですか?」
パイセンの表情は、あえて言葉で例えるならば、
にやにや。
そう、ただただ、
にやにや。
はいはい、おいちゃんはわかっとりますばい。
あなたはこの「定番メニュー」じゃなくて、
グランドメニューに別にはさまってるヤツでしょう。
さっきからチラチラ見えているコレね?
なにぃ?!ウソだろ!!素敵じゃないか!!
チキンカレー釜めし
本格印度風
大人の中辛
サラダ、ラッシー付き
1280円、そう、女子会ランチ価格の1280円じゃないか!
「えっ! この前、汐里ちゃんと来たときにはなかった!!」
自称カレー好きの彩香。
ふふふ、心が揺れてやがる。
「私、決めました、Bランチのかつ、かつにします」
おお、ハタチの女学生、いいタイミングだ。
こちらも1280円。
さぁ、どうする彩香さん、さぁ。
「くりしんさんはカレーですよね、にこっ」
ここでブッこんできましたか、アルカイックスマイル。
すぐに彼女から視線をはずす。
冷静さを装いながらこう言い放つ。
「いや、くりしん イコール カレー ではない。いちおう人間」
「(スルー)すいませ~ん、注文、よろしいですか?」
で、結局、目の前に現れたのはこちら。
サラダにラッシー、さらにコレがついてくる。
福神漬けではない!
なぜなのか。
その謎は釜めしを食べ始めてわかることになる。
ひと夏の初体験釜めし
釜めしの頂上に手羽元チキンが数本見え隠れ。
”本格印度風”から香り立つスパイス。
シャモジとカレースプーン、どちらを使うか。
シャモジは釜からごはん茶碗に移すためのものだ。
うーむ、ふつうの釜めしならば、
シャモジで全体をかき混ぜて、ごはん茶碗に。
ためらいながら、ごはん茶碗を手に取る。
なんとなく、ひっくり返すとそこには!!
おおおおお、何だか感動しちゃった。
まさか、煎茶の湯飲みもなのか、と天に掲げる。
おおおおお!
この感動を伝えようと、女子たちの顔を見ると、
ひとりだけ、視線がカレー釜めしに注がれている。
はいはい、わかりました。
茶碗でシェアすればいいんですね。
どうですかね、オクチにあいますかねぇ。
さて、そろそろ「チキンカレー釜めし」に集中しよう。
なにせ、8月31日まで期間限定で提供する「カレー釜めし」なのだ。
史上初は世界初に違いない。
絶対にクイッターズ読者に情報を届けなければ!!
メニューを見たときにそう思った。
ただ、次の瞬間、ある想いが頭の中をよぎる。
正直に言おう。
【ただ、器がカレー皿から釜にかわっただけだろう】
そうだよな、きっと。
それは注文する前から分かっていたことだ。
結局はかき混ぜず、カレースプーンでひとくち。
おう、”大人の中辛”だ。
チキンもホロホロと崩れる。
まずは骨を鶏だそう、いや、取りだそう。
むむむっ!!
何か違うぞ!!
ただのカレーじゃないぞ!!
こんなの初体験♪
「いかがですか? ちょっと辛いでしょう? よろしかったらお水をどうぞ」
ノンアルビールのグラスにウォーター。
ちょっとツッコミたい。
けど、その気持ちを抑え、
「そうですね、大人ですねぇ。激辛はあるんですか?」
「中辛しかありません。初めてなんです、ウチがカレー釜めしを出すのは」
「ええっ? 昭和29年の創業だから、うーんと、ビクトリア63年史上初ですか!」
「そうなんです。だからまずは中辛で、と。16種類のスパイスを使っているんですけどね」
「おお、そうなんですか。それとこのごはんなんですけどね」
「ああ、お気づきになられましたか。秘伝の出汁を加えて炊いたもの。そうです、通常の釜めしに使うごはんと一緒なんです」
「ああ、和風のエッセンスも入っているから、だからタクワンに梅干しなんですね。よく分かります」
「いや、それは単純にオペレーションとコストの問題です」
「ですよね~」
てなわけで、20代前半女子ふたりと40半ばオヤジひとり。
財布から消えてなくなった金額のことは、考えなくていいですよ。
ほらほら、そこのキミ!
計算しなさんな!
メッ!
■店舗情報

店名 | 釜めし ビクトリア |
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ジャンル | 釜めし |
TEL | 092-771-4081 |
住所 | 福岡市中央区天神2-7-144 新天町商店街内 |
交通手段 | 西鉄福岡天神駅より、徒歩5分。 |
営業時間 | 11:00~20:30 |
定休日 | なし |
