
福岡マイクロツーリズム in 唐津 ~旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館と竹屋の鰻~ うなぎ 竹屋(佐賀県唐津市中町)
福岡市近郊の観光&グルメ情報をお届けする『福岡マイクロツーリズム』。
今回の舞台は、佐賀県唐津市です。
地下鉄空港線とJR筑肥線が直通運転を行っているため、福岡市の中心部から唐津には電車で乗り換えることなく行くことができ、市外局番が「0920」の壱岐対馬と同様に、他県でありながら福岡市との近接性を強く感じるまちです。
ちなみに、市営地下鉄とJR線の直通運転が実施されているのは全国で唯一この路線だけ。
「博多駅で飲んで、時間が早かったから地下鉄で帰ろうと思って西唐津行きに乗ったんだけど、目が覚めたら福岡空港に着く間際だったよ。」という、博多の酒豪が名刺代わりに好んで用いるフレーズが生まれることになった所以です。

福岡市地下鉄空港線・JR筑肥線 姪浜駅
姪浜駅から唐津駅までの所要時間は1時間ちょっと。
1日に数本運行される快速電車に乗れば最速46分で到着します。
「旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館」で近代日本建築の幕開けに触れる
最初の目的地は、旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館。

旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館
この建物の設計を監修したのは辰野金吾という人物。
1854年(嘉平7年)に唐津藩の下級武士・姫松家の次男として生まれ、1868年(明治元年)、父の実弟の辰野家の養子へ。1870年、唐津藩が高橋是清(のちに日本銀行総裁・大蔵大臣・内閣総理大臣を歴任。二・二六事件にて没する)を教師に迎えて開設した英語学校「耐恒寮(たいこうりょう)」に入学し、1872年に高橋が帰京すると、あとを追って上京し、工部省工学寮(現在の東京大学工学部の前身。1877年に工部大学校と改称)へ入学し、日本政府が招聘したイギリス人建築家、ジョサイア・コンドルに師事。1879年、工部大学校造家学科を首席で卒業し、ロンドン大学に官費留学して建築学と美術学を修め、帰国後、ジョサイア・コンドルの後任として工部大学校教授に就任。1886年に日本人初となる建築設計事務所を銀座に開設し、「建築家」という職能を日本人として初めて確立。以後、日本銀行本店、東京中央停車場(現在の東京駅丸の内駅舎)、武雄温泉楼門など生涯で200余りの建築設計に携わります。
「耐恒寮」でともに学び、唐津における水産業・炭鉱業・港湾業・鉄道業・電力業などの産業発展に寄与した実業家、そして唐津銀行の創業者であった大島小太郎が辰野に設計・建築を依頼。当時、東京中央停車場の設計で多忙を極めていた辰野が、愛弟子で清水組(のちの清水建設株式会社)の技師・田中実に設計を委ね、1912年(明治45年)に竣工した唐津銀行本店は、のちに佐賀銀行唐津支店として1997年(平成9年)まで利用されました。移転に伴い唐津市に寄贈され、2008年(平成20年)より3年にわたる保存修理工事を経て、現在の形で一般公開されています。

旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館

旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館

旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館

旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館

旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館
福岡市民にはおなじみの赤煉瓦文化館(旧日本生命保険株式会社九州支店)も辰野の設計によるもの。
1919年(大正8年)、当時大流行したスペイン風邪に罹患し、64歳でその生涯を閉じた近代日本建築の父・辰野金吾の偉業と故郷への想いに触れ、感無量の時間を過ごしました。
「うなぎ 竹屋」で100年の歴史を味わう
そして、次なる目的地は、旧唐津銀行本店・辰野金吾記念館から徒歩1分。同じ通りにあるこちらのお店へ。

うなぎ 竹屋
「うなぎ 竹屋」は明治時代に創業。もとは唐津藩の城下において刀研ぎ・漆工(鞘の細工など)を営んでいましたが、明治の廃刀令を受けて鰻屋に職変えしたといういわれがあり、現在の店舗は1923年(大正12年)築の木造3階建。1998年(平成10年)に唐津市で最初の国登録有形文化財となりました。

うなぎ 竹屋
2階の座敷に腰を落ち着け、まずはサントリープレミアムモルツの樽生で乾杯。
きめ細かな泡立ちと、まるで水を飲んでいるかのような澄んだのどごし。この百年建築の中で、この素晴らしい一杯に出会えるとは、感無量の一言に尽きます。

うなぎ 竹屋
定食についてくる小鉢は唐津の名店「川島豆腐店」のざる豆腐。お新香のキャベツの浅漬けも酒の肴にぴったりの一品です。

うなぎ 竹屋
波佐見焼の美しい蓋付きの器が登場。

うなぎ 竹屋
蓋を取ると、照りがまぶしい鰻の蒲焼。
合わせるのは、唐津の地酒、鳴滝酒造の銘酒「太閤」生酒。タレの甘みに米本来のふくよかな風味が絶妙にマッチ。

うなぎ 竹屋
うなぎ定食には、ご飯と肝吸いがついてきます。
蒲焼を口に含むと、炭火焼き由来の香ばしさと、もちっとした皮の弾力、百年の歴史を感じさせるタレの深みが怒涛のように口のなかに押し寄せてきます。
まさに、この場所に来ないと体感できない醍醐味。しばし言葉を失います。

うなぎ 竹屋
博多の「吉塚うなぎ屋」、小倉の「田舎庵」「川淀」、諫早の「福田屋」「北御門」、鹿児島の「末よし」、そしてここ唐津の「竹屋」と、九州各地に老舗の鰻屋がありますが、共通するのがご飯の美味しさ。
おひつに入ったご飯をお替りしながら、至福のひとときを堪能。
時代が交差する唐津の街を歩く
食後は、クラシックとモダンが調和する唐津の街を散策。
思わずリピーターになってしまう唐津の魅力。ぜひ味わってみてください。
■関連リンク■
・クイッターズ福岡「福岡マイクロツーリズム」 バックナンバー
※記事の内容は2020年8月時点のものです。
■店舗情報
店名 | うなぎ 竹屋 |
---|---|
ジャンル | うなぎ |
TEL | 0955-73-3244 |
住所 | 佐賀県唐津市中町1884-2 |
交通手段 | JR筑肥線・唐津駅より徒歩6分 |
営業時間 | [月~土]11:30~19:00 [日・祝]11:30~18:30 |
定休日 | 水曜日 |
公式HP | https://r.gnavi.co.jp/ju953cv30000// |
