
完全予約制&不定期営業。店名のない「謎のカレー屋」があるというウワサを聞いて……。 ???(福岡市)
辛さ1倍か39000倍しか選べない謎のカレー屋
福岡のどこかに、1倍か39000倍しか辛さを選べないカレー屋さんがあると知人から聞いた。店の住所も電話番号も不明。しかも、39000倍とはどんな辛さなのか。さらなる情報をたぐりよせ、どうにかしてコンタクト先をつかんだ。
開店は不定期で、一度来た客はメールで連絡を受けて来店の予約をするスタイルの、まさに「知る人ぞ知る」店。メールのやりとりで日時と希望のカレーを伝え、あとは指定の場所へ行くのみ。当日を心待ちにして、いろんな想像を膨らませる。
何の変哲もない、あるマンションの一室。扉を開けると、中に立ち込めるスパイスの香りがふわりと鼻をかすめ、食欲を刺激する。ただでさえ空腹。そのうえカレーとくれば、考えるだけでよだれが止まらなくなる。
好きなカレーを2種選ぶ
知人に聞いたとおり、カレーは2種のあいがけスタイル。好きな組み合わせを選んで、それぞれ1倍か39000倍か、辛さをリクエストする。

頼んだメニューの「○」を消していく
カレーの種類は日替わりで数種ラインナップされているが、メニュー名には「カレー」の文字はない。いったいどんなカレーが出てくるのか。思い切って店主に聞いてみると、ものすごくていねいに、気さくに答えてくださったのですっと緊張がほぐれた気がした。
そもそも、39000倍とは何なのか。すごく気になるが、もう少し店主と打ち解けてから聞くのが良いだろう。本来ならば39000倍の辛さに挑戦したいところだが、午後の原稿執筆に備えて2種どちらも「1倍」で注文してしまった私を、店主はゆるしてくれるだろうか。そんな心配をしながら、カレーができるのを待った。

1対39000
私が頼んだ「スペアリブ」(手前)と「ビーフシチュー」(奥)。付け合せには野菜のピクルスが付く。

華やかな見た目!
「スペアリブ」は、まず華やかなスパイスの香りが嗅覚を刺激する。口に含むと、野菜の旨みに肉の旨み。香辛料からくる複雑な味わいと、素材の味、さらにソース酸味がバランス良く重なりあい、食べるうちに高揚感でいっぱいになった。
「ビーフシチュー」は、まるでビーフシチューのようにコクがあり、芳醇な味が広がっていく。カレーらしい味のあとにやってくるのが、デミグラスソースのような濃厚さ。これほど絶妙な味の設計はなかなかできないと思う。これまで食べたことのないのに、次に来たときは確実にリピートしてしまうだろう、魅力的な味だ。
汗との戦い
一緒に行った元木さんはなんと、どちらも辛さ39000倍で「ハーブグリーン」と「軟骨麻辣」を頼んだのだった。ああ、挑戦者!
(私は自分が情けなくなったが、この判断には決して後悔はしていない)

チキンがたっぷり
東南アジアらしいグリーンカレーと、中国的な麻辣の出会い。こんな邂逅はめったにないことだと思うけど、食べるそばから汗が吹き出てそれどころではない。食べられる、けど暑い。鼻の頭から、目の下から、額から、とにかく汗が止まらなくなる。それもそのはず、この「39000倍」には、激辛唐辛子「キャロライナリーパー」の粉末が使われていたのだ!

これが辛さの犯人
首筋を通って流れ落ちる汗を、タオルハンカチでキャッチする。私の場合、辛さとの戦いは汗との戦いと言い換えてもいい。
一方、「これくらいは大丈夫」と言ってあっという間にカレーを食べてしまった元木さん。元木さんの顔には、汗の一滴さえたれてこなかったので、私は自分の汗がさらに恥ずかしくなった。
※記事の内容は取材時点のものです。
■店舗情報
店名 | (非公開) |
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ジャンル | カレー |
TEL | なし |
住所 | (非公開) |
交通手段 | (非公開) |
営業時間 | (非公開) |
定休日 | 不定 |
