
たぶん福岡で最も「甘い」ラーメン店『基峰』に25年ぶりに行ってみた 基峰(中央区笹丘)
1970年の創業から、その独特のスタイルで、福岡のラーメン愛好家の支持を集め続ける有名店である。都心部からは離れ、またパチンコ店に併設されているという一風変わったスタイルながら、常連が足繁く通う理由は、やはりその「味」にありそうだ。
博多で一番との評価を受ける理由とは?
最初に言っておくが、ぼくは基峰の崇拝者ではない。でも、そういう人が出てくる気持ちは、とてもよくわかる。それくらいオリジナリティの高いラーメンなのだ。
いや、回りくどい言い方はよそう。
甘い。とにかく甘いんだ。
わかるよ。「豚骨に鶏ガラのブレンドのスープかな」とか、「牛骨が入っているっていう情報もありますよ」とか、「元ダレは醤油が強いよね」とか「加水率の低い細麺とスープの相性が……」とか、「具がチャーシューとネギだけって潔いよね」とか、そりゃ、いくつかの切り口を提示することはできます。
でもさ、甘いんだよ、基峰は。甘い。

12時の開店とともに、カウンターは常連でうまる。

「焼きそば」はかなりこってりしているらしい。いつかビールのお供にしたい。
初めて訪れたのは今から25年前。まだラーメン店なんてそう多くはなかったから、ラーメン好きの間では、繁盛店としてよく知られた店だった。期待に胸をいっぱいにしてカウンターに座った22歳のぼくは、スープをひとすすりして思った。
甘い、と。
でも、本当にそうだったのか。あの頃のぼくは、まだ味をよくわかっていなかったんじゃないか。そう思って再訪した基峰の味は、ズバリ。
甘かった。
いいんです。甘くて。これが好みだったら、当然、ベストワンになります。だって、ぼくの知る限り、これより甘いラーメンは福岡には存在しないから。
おうおう、なんだって? あるってんだったら、教えてほしいね、旦那。こちとら、伊達に40年、ラーメン食ってるわけじゃないんだからね。
と、まあ、興奮する必要はないのだけれど、つまりは唯一無二の味で、開業から50年近く、お客に愛され続けているという事実に、ぼくはもうそれだけでひれ伏すのです。甘さ、万歳!
というわけで、最後にこの日、店で仕入れた情報をまとめておく。
基峰のすごいところを集めてみた
1)こちらはワンタン麺(680円)です。

博多らしい、びろびろタイプが5個入って満足感が高い。
2)基峰にはルールがある。

壁に手書きの貼り紙。

プレートも作った。

卓上にもほら詳しく。

とうとうウチワにも書いてしまった。
一、 ラーメンにはレンゲをつけておりません。麺はズルズルとすすり、スープはどんぶりを持ちグビグビッとお飲み下さい。
一、 替玉はおかわりをする為ではなく麺を硬麺で食べる為のシステムなので硬麺以外は承っておりません。
…ちなみに「バリカタ」「ハリガネ」「ナマ」等といわれる硬さのものを出しておりません!!
「グビグビッ」の最後の「ッ」の促音に意思を感じる。また、替え玉が「システム」であることを初めて知った。しかも「おかわり」ではないのだ。勉強になる。
このルールは店内のいたるところに表示されていて、どれだけ怖い親父がやってるんだろう、と思うだろうけど、その実、家族経営のほんわかした店である。ご心配なく。

替玉はとても常識的な硬さの硬麺。
3)卓上にあるのは、胡椒、ソース、紅生姜。ソースはチャンポン用だと思われる(一応、県外の人のために言っておくと、長崎もそうだけど、博多の人間の中にはチャンポンにソースをかける者が少なくないのだ)。

甘すぎると感じたら、紅生姜の酸味で緩和しよう。
4)水のコップがワンカップの再利用でノスタルジックである。ぼくの小さい頃のラーメン店の多くが、このスタイルだったなぁ。

昭和やなぁ(遠い目)。
5)入り口のカタカナ表記が、なんとも味わい深い。

ヤッホー!
というわけで、25年ぶりの基峰はやっぱり甘かった。
なぜ、こんなに甘いのか。ぼくには仮説があるけど、まあ、それは会ったときにでも話しましょ。
ライター
鶏肉屋の三男として生まれたせいで幼い頃から飲食店が近しい存在で、飲めるようになってからは一日も酒を欠かしたことはなく、立飲みから高級店まで、まあ図々しく呑み喰い語る日々。今日も反省なく喰らう、喰らう。
■店舗情報
店名 | 基峰 |
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ジャンル | ラーメン、ちゃんぽん、焼きそば |
TEL | 092-761-3950 |
住所 | 福岡市中央区笹丘1-12-23 |
交通手段 | 西鉄バス「笹丘バス停」下車すぐ |
営業時間 | 12:00~21:00 |
定休日 | 第1、3、5日曜日 |
