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“あの”名店のシェフもイチオシ! 行列が絶えない人気ベーカリー「Yakichi」 Yakichi(南区大橋)

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  2018/10/29   ※記事公開時の日付です


 

店内に入れるのは2~3人が限界。
入りきれない人々が行列をつくり、さらにその行列が人を呼び……。
2017年にオープンしたベーカリー「Yakichi」には、ひっきりなしにお客が訪れます。多くの人を魅了する秘密はどこにあるのでしょうか。

たかが、フランスパン。されど、フランスパン。

対面販売。気さくな店員の方がいろいろ話しかけてくれる。

 

 

なんだこれは!
それはそれは凛々しく、ピシッとした姿勢で整列しているパンたち。
今にも「パリッ」と聞こえそうなほど、黒々と、見事にしっかり焼きあがっています。
ラインナップから見るに「Yakichi」はどうやらハード系のパンがお得意の様子。

 

焼きあがったパンは次々に奥の吊り棚に並べられていきます。

 

 

フランスパンなんか、2種類あります。

 

1/2カットではなく、わざわざ小サイズを作っているあたり、パンへの愛を感じます。

 

 

もっちりとさっくり。
「どう違うんですか」と訊ねると、粉と水の配合がそれぞれ異なるとのこと。

 

上がさっくり、下がもっちり。

 

 

いやいや、そうは言ってもフランスパンはフランスパン。かたいものはかたいでしょう。

 

……なんて大間違い!

 

触った感じからして、全然違う。
枕に例えるならば「もっちり」は低反発枕のような弾力で「さっくり」はそばがらの枕のような感じ。
昨今のパンブームについていけないほどこれまで米派を謳ってきた私ですが、このフランスパンを食べてからは「パンって……すごい……」とパン派にかたむきつつあります。もう、驚きすぎて語彙力がなくなるレベル。

ガリガリ、じゅわん。もっと噛みしめたい!

フランスパンのほかに、絶対にはずせない2品を紹介します。
まずはこちら。

 

ざぶとん(1/6 140円)

 

 

食感が忘れられなくて、定期的に食べたくなる衝動に駆られます。
クラストは写真からもわかるようにバリッバリのガリッガリで硬いのに、中はまるでゼリーのようにみずみずしく、プルンッとしているんです。

パンを表現するときに、まさか「プルンッ」とか「みずみずしい」なんて言葉を使う日がくるとは思わなかった。でも、まさにこれがぴったり。

 

おもちのようにビヨーンとのびます。この気泡の大きさも特徴ですね。

 

 

何度も言いますが、外側は結構硬いんです。

でも噛みしめていくと、ある瞬間から「じゅわっ」と食感が変わります。

ガリガリからプルプルに。最後はじゅわわんと生地の甘さがからみつき、姿を消す。

そしてまたガリガリと食べたくなる。食べ終わりたくない、まだ口を動かしていたい! そのループです。

 

プルプルの秘密は、「普通のパンよりかなり水分を多くいれているから」とのこと。「焼く前の生地はかなりだるんだるん」だと、店員さんが教えてくださいました。ちなみになぜ「ざぶとん」なのかというと、焼き上がりはざぶとんのように大きいから……。そんないろいろと扱いにくそうなパンを好んで焼くって、相当な情熱を感じます。

 

2品目はこちら。

 

くるみコンプレ(1/4 170円)

 

 

コンプレ=全粒粉。
ガリッとひと口……香ばしい粉の風味が鼻をぬけた後、これまたじゅわわ~んと口の中で甘く変わる。

そしてクルミの楽しい歯ざわり。ああもうたまらない。

 

そのままでも、サンドイッチにしても、スープに浸しても、合うそうです。いやもうそれ何にでも合うってことじゃん! 最強のパンだ!

だから、Yakichiはすごい。

通いつめすぎておそらくコンプリートしている私。
以下は、必ず買うパンたちです。

 

クロワッサン(180円)

 

 

形がちょっとまるっこくて愛らしいのです。
黒糖を使った生地はほんのり黒く、発酵バターの良い香り。
クロワッサンって、バターを折り込んだり形を整えたりと、断面の美しさが命と聞いたことがあります。

 

きれいな層ができている!

 

 

手でちぎってしまったのでちょっとつぶれていすが、うん、美しい。

「トースターで少し焼きなおしてもおいしいですよ」と、店員さんが教えてくださいました。

 

あんバター(190円)

 

 

自家製のあんこが、すっきりした甘さなのです。
あんことバターという主張の強い2つが合わさっているのに、パンの味を邪魔していない。むしろ、あんことバターのおかげでパンがイキイキしています。

 

自家製ベーコンのサンドイッチ(450円)

 

 

あんこに続き、ベーコンも自家製。手間を惜しみません。
ジューシーな厚切りの自家製ベーコンが、目を見ひらくウマさです。このほかに自家製の鶏ハムやツナをつかったサンドイッチもあって、ああ、一番を決めきれない。

 

「サンドイッチの具材まで自家製なんてすごいなあ」と驚くのはまだ早い。
なんと、パンに使う種も自家製だといいます。しかもすべて手ごねと聞いたら「原価大丈夫なのかな」と思わず心配になってしまいます(余計なお世話ですね)。

 

いやいや、それほどパンに対して愛情と情熱があふれているのでしょう。
これぞ職人! なんてかっこいいのだろうか、と会ったことのないオーナー(私が行くときはいつも店の奥で黙々とパンを焼いていらっしゃる)に尊敬のまなざしを毎回おくってしまいます。

 

そんなオーナー(藤川さんとおっしゃいます)、パン好きの中では超有名な東京の「パーラー江古田」のご出身と伺いました。くるみのコンプレは、そちらの看板商品でもあるそうです。

 

ところでなぜここまでYakichiが人気になったかって……?

福岡のパン界(そんな名前のものがあるとして)で知らない人はいないであろう「パンストック」のオーナーシェフが、テレビ番組でこちらをおすすめしたことから火が付いたと、ほかのお客さんから聞きました。

なるほど、でも●●出身とか●●おすすめなんていわれなくても、きっと人気になっていたはず。そう思わせるだけの魅力があります。

 

こうして書いている今も、もう恋しい。
ガリガリ、じゅわんを、味わいたい!

私の足は今日も「Yakichi」へと向かうのです。

内川美彩

ライター

あるときはライター、あるときは主婦、あるときはママ……その実態は大盛りハンター。唐揚げと白米に目がない。口癖は「痩せたい」。

 

■店舗情報

店名 Yakichi
ジャンル ベーカリー
TEL 092-553-2600
住所 福岡県福岡市南区大橋4-5-6 天本ビル 1F

交通手段 西鉄大橋駅から徒歩10分
営業時間 9:00~18:00 ※売り切れ次第終了
定休日 月曜、火曜

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