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教えたくないけど食べて欲しい。 創業50年以上の老舗和食店のおでんは思わず出汁を飲み干す味。 小倉お多幸(小倉北区魚町)

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  2018/10/22   ※記事公開時の日付です

お待たせしました、今年もおでんの季節が到来です。

ちょうど今日みたいな日。衣替えの準備をして、朝布団から出たくないなーと思う頃おでんが食べたくなる。鍋はまだ早いしひとりでは量が多いけれど、おでんはそうじゃない。食べたい分だけ選べて温かいからつい手が伸びる。

開店は11:45〜。魚町銀天街の中道、白い暖簾が目印だ。

店主の達筆な手書きのお品書きが並ぶ。

そんな思いでやってきたのは、「小倉 お多幸」。
東京にある本店から暖簾分けをし、創業50年以上の老舗和食店で
地元が近い私にとっては幼い頃からお世話になっているお店だ。
落ち着いた雰囲気の店内はいつも通りお醤油の香りが立ち込め、すっかりおでんの口に。

これを頼めば間違いない。まずはおでんの盛り合わせを注文。

さて、何にしよう。これを決めるのがおでんの醍醐味です。
「大根とすじは必ず頼む」「たまごは最後に食べる」などある程度決まっている人も多いはず。
ただ、お多幸のおでんはお品書きに載っていないものも含めると53種もあるんです。(季節や仕入れによって異なります)
これをどう選ぶかは至難の業なんだな〜。

一品190円〜。もやしやレンコンなど変わり種も充実している。

 

店主「うちで大根が食べられるのは、青首(大根)が旬を迎える今からの2月あたりまで。たまごは3日間別の鍋で煮込んで味が染み込ませ、豆腐やこんにゃく、練り物はお多幸オリジナルで作っています。これからの時期は春菊やネギ、タラの白子に殻つきカキもおでんで楽しめますよ」

おまかせのおでんが5品ついてくるお得な盛り合わせ。大満足のボリューム。

お品書きをパッと見ただけでも笑みがこぼれる種類の多さなのに、それに加えてこんなことを聞いたら選びきれない……!
そんな幸せな悩みを解決してくれるのがおでんの盛り合わせ(1050円)です。
お多幸の定番が必ず入っていて、これを頼めば間違いない!初来店の人には特におすすめします。ほかにもこれに白米、お味噌汁がついたおでん定食(1,100円)や和定食。

昼も夜も定食あり。おでんではないですが、賀茂茄子定食も私は好きです!

おすすめはピリッと辛い「豚足」(550円)。

お酒や一品料理も充実しています。

最後の一滴まで飲み干せる秘伝の出汁。

奥から時計回りに、牛すじ、うおがし(白身魚のすり身に野菜を練りこんだもの)、豆腐、こんにゃく、里芋。

おでんを炊き続けるために年中無休営業。台風などで店を閉める日も、出汁の味を守るため毎日必ず火を通している。

豆腐にかかる一味が相性抜群。

店主「どうぞ」
きた!これこれ。お多幸のおでんは、関東炊きのおでんを九州の人の好みに合う味へと本店より甘辛くアレンジされたもの。
少し濃い色の出汁は手布で漉しながら50年以上継ぎ足しで毎日丁寧に作られている証です。

すかさず豆腐へ箸を入れると、持ち上げられないくらいほろほろ。絹でも木綿でもないオリジナルの豆腐は色味ほど全く濃くない味なのに、旨みはしっかりしみこんで不思議なんです。
写真左奥の里芋(大好きなのにアップの写真を取り忘れました……)は変わり種と思われるかもしれませんが、お多幸では定番。とろんとろんになった里芋の上に甘い味噌がのって里芋の甘味を引き立てます。
すじも、こんにゃくも、うおがしも、どれを取っても隙のない丁寧な味だぁ。

食べて欲しいけど教えたくない場所なんです。

ごちそうさまでした。
最後の一滴まで飲み干すと身も心もじわーっと温かい。
店主「うちは1年中おでんをしていますが、やっぱり今からの時期が一番美味しいですよ。12月頃になると白子やカキが出るのでぜひまた来てください」

いやぁ。ひと口食べて欲しい、人を連れてきたい場所ってこんな場所だな。
それにしてもこれで1050円は安すぎる……。あぁ教えたくないなぁ。

新本菜月

ライター

この春、福岡に越してきた新参者ライター。「食後には甘いものを」をモットーに新たな甘味を求め、今日も生きる。夢は巨大プリンの中で泳ぐこと。すいすい。ぱくぱく。

 

■店舗情報

店名 小倉 お多幸
ジャンル 和食 おでん
TEL 093-551-2586
住所 福岡県北九州市小倉北区魚町1-4−11
交通手段 JR小倉駅から徒歩10分
営業時間 11:45~22:00(L.O21:30)
定休日 なし

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