
もしも稲川淳二が今泉の「鉄板屋 いっちゃん」を訪れたら 鉄板屋 いっちゃん(中央区今泉)
梅雨の真っ只中、テレビ番組のロケで福岡市の中心街に行ったんですよ。マネージャーの、仮にMちゃんとしておきましょうか。彼女と一緒に、仕事後にふらっと今泉の飲食店が集まる場所を訪れました。
するとMちゃんが突然立ち止まって、「稲川さん、あそこに居酒屋がありますよ。一杯どうですか?」と、こう言うんです。
アタシもちょうど、何か食べたいなぁと思っていたところでした。それで、天神南駅のすぐ近くにあるビルの一階にある居酒屋へ行ったわけです。
おや~って思いました。入り口にも店内にも、お店の看板がない。名前が分からないじゃないかとキョロキョロしてみるけれど、やはり見当たらない。おかしいなぁと首をかしげていたら、いつの間にかビールがやってきた。気を利かせてMちゃんが頼んでくれてたんですね。
・生ビール 中ジョッキ(460円)
ゴックゴック、ゴックゴック。冷たい液体がのどの奥まですーっと染みる。それから、Mちゃんが数品頼んでくれました。次のロケ地はあそこに行きたいね、なんて雑談をしながら福岡の鶏料理を堪能してたんですね。
・博多地鶏(100円)
地鶏deユッケ(490円)
・ほくほくポテトのシーザーサラダ(590円)
・レア肝(490円)
僕はこれで満腹になったんですが、Mちゃんが〆に「汁なし辛麺」を食べたいと言うんです。なので、「君が一人で食べるなら」と注文したんですね。このお店では辛さのレベルが選べるらしい。辛いものが大好きな彼女は迷わず、一番辛いLv5を選んでいました。
五分くらい経ったころかな。そろそろ辛麺がやって来るころだなぁとスタッフの顔を見たら、なんだか様子がおかしい。どうにも落ち着きがないんです。すると彼が足早にやってきてね、青白い顔でこう言うんです。
「汁なし辛麺、辛さはLv5でいいんですね?」
彼のあまりの動揺ぶりに僕ら驚きまして。「どのくらい辛いんですか」と聞いた。すると、「作ってるときの湯気で目が痛くなるくらいです」と、こう言うんだ。Mちゃんは結局、Lv3を頼みました。
・汁なし辛麺(790円)
なんだかね、いや~な気がしたんですよ。香りを嗅いだだけで、こめかみからツウーっと冷たいものがたれる。だけどMちゃんは、おやつを前にした子どものようにね、ニッコリ顔で卵を絡めているんです。
それで、彼女が麺を口に運んだわけだ。ズルズルッ、ズルズルーッ!ゴクリ。
表情を見る限り、なんの変化もない。なーんだ、スタッフの人が大げさだったんだと思った。だけどよく見たらね、明らかにMちゃんの目がおかしい。いつもにこやかな目元がキッとつりあがって血走っている。これはヤバイ、とお水を渡して「大丈夫?」と聞いたらね、無言でお水をひったくるんです。一瞬で飲み干したと思ったら、ジーッといつまでも、いつまでも辛麺を見つめるだけで、全く箸をつけようとしない。あまりにも心配だったんで、残りはあきらめて彼女を抱えるようにしてお店を出たんですね。
そしたら、スタッフの方が苦笑いをして言うんです。
「次は、Lv1から挑戦ですね」って。
■店舗情報

店名 | 鉄板屋 いっちゃん |
---|---|
ジャンル | 鉄板焼き、お好み焼き、居酒屋 |
TEL | 050-5594-6262 |
住所 | 福岡市中央区今泉1-12-23 西鉄今泉ビル1F |
交通手段 | 天神南駅から徒歩5分 |
営業時間 | 昼:11:30~14:00 夜:17:30~翌1:00 |
定休日 | 不定休 |
