
「もっと払わせて」と言いたくなる『トアヒス』の4000円ランチ TTOAHISU(中央区大手門)
常に予約で満席。
食通の人々から「あそこはいい」とよく聞くフレンチを食べに。
TTOAHISU。
檜のエントランスに赤暖簾。まるで和食店です。
「一見さんお断りのお店みたい……」なんて(勝手な思い込みに)ドキドキしつつも入ってみます。
扉を開けた先に広がるモノトーンの世界。
向かって左には、福岡城をモチーフにした壁画が。
アトリエブラヴォの作品だそうです。
テーブルにセットされているのは富士山の器。
今のところ、フレンチらしき要素はありません。
しかし、それこそが「TTOAHISU」なのです。
古典と前衛のマリアージュ
オーナーシェフの山下さんは、25歳の頃に東京のイタリアンの名店「アロマクラシコ」のシェフを務めたのち独立し、2016年5月に「TTOAHISU」をオープンしました。
現在、31歳。
年齢は関係ないと個人的には思っているのですが、
それでも若くして店をもち、美食家の人々から信頼されているなんて
すごいな……と、ただただ感心。
(だって私とそんなに年齢が変わらない…!もっと頑張れ自分!)
メニューは、昼夜ともに「おまかせコース」のみで、ランチ4000円(8品)、ディナー9000円(10品)。
料理の特徴は、何と言っても食材から調味料まで、できるだけ九州産のものを使用している点です。
古典的なフランス料理を尊重しつつ、日本らしさを感じる。
それが「TTOAHISU」。
だから器や外観があんな感じなのね、と。
(福岡城の近く大手門に店を構えたのも、もしや……?)
たとえば、最初に出てくるスペシャリテの「コンソメ・ドゥーブル」。
こちらは、福岡ではおなじみの焼きアゴをはじめ、
トンコツや鶏から丁寧にとっているそうです。
琥珀色の澄んだスープを、まずはひと口。
「滋味深いってこういうことだ……」と実感できる、優しい味。
ああ、温かいスープで体が温まったおかげで食欲のスイッチが入ります。
※このあたり、美味しすぎて胸がいっぱいで料理の説明をしっかり聞いておりませんでした……不覚!
こちらは「五島うどん」を使ったカレーうどん。
温泉卵、ラグー、九条ネギ、みょうが、パクチーを絡めて。
メインの前にやってきた米粉のパンの上には、とろろ昆布がのっています。
中には梅干しが練りこまれていました。
視覚からの情報だけだと「こ、これは…?」とちょっぴり疑ってしまうのですが
これが不思議とマッチするのです。
生地の甘さに、昆布と梅の酸味がほどよく混ざり合って。
シェフいわく、おにぎりをイメージしているとか。
メインは宮崎産「おいも豚」のロティ(リゾット添え)。
ビーツのソース、ほうれん草のソース、いろいろな味を楽しんでくださいと言われたのですが、くずすのがもったいなくてしばらくうっとりと眺めてしまいました。
アヴァン・デセールはラムレーズンのアイス。
土台のクリームチーズや周りにあしらわれた葡萄のコンポートも主役級でした。
デセールは3種のチョコで作られたガトーショコラ。
とっても濃厚かつなめらかで、テリーヌに近い感じ。
美味礼賛
「TTOAHISU」は「ガストロノミーフレンチ」を掲げています。
ガストロノミーについてを私が語るなんてとてもおこがましいのですが
コースを通して感じたのは、シェフが「食べること」をとても大切に、そして楽しんでいるのだろうなということ。
「箸で気軽に食べられるフレンチ」とか「和と洋の融合」とか、そういったよくある類のものではなく唯一無二の“Made in Japanのフレンチ”こそ、シェフ・山下泰史さんの手から生まれる「TTOAHISU」の料理なのでしょう。
さて。
8品4000円、あなたはどう考えますか。
(かなり余談ですが、最後にお見送りをしてくださったシェフは金髪に金のスニーカーという出で立ちでした。ああ、どこまでもかっこいい!)
■店舗情報
店名 | TTOAHISU |
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ジャンル | フレンチ、コース料理 |
TEL | 092-733-4600 |
住所 | 福岡市中央区大手門3-12-12 BLDG64 1階 |
交通手段 | 地下鉄大濠公園駅から徒歩3分 |
営業時間 | 12:00~15:30(LO13:00)、18:30~23:00(LO20:00) |
定休日 | 水曜 |
