
おばちゃんとの会話と本格的な味を楽しむ「焼そばバル コロール」 「焼そばバル コロール」(中央区大名)
焼きそばはハズレがないけど当たりもない。家で作る味に飽きてきた。そんな方におすすめなのがここ「焼そばバル コロール」。
キャラは満点! それ故に味が心配
店内はカウンターのみ8席。店にはおばちゃんが一人だけ。指に沢山の指輪を付け、首に金のネックレスを2個かけている。もちろん髪を染めている。
私より先に入店していた4人のお客さんのうち3人は、どうやら初めて来たようだ。それも別々に。
でも、おばちゃんはもうみんなと打ち解けている。私にもとびっきりの笑顔をみせてメニューを差し出してくれる。
おばちゃんの愛想の良さは満点。
ただ、味が不安だ。TVから流れるニュースにやたら詳しく、別のお客さんに内容を熱心に説明しているおばちゃんの作る焼きそばは、プロの味なのだろうか。厨房の香辛料もスーパーでよく見かけるものが並んでいる。いい予感がしない。
店内のいたるところに貼ってある「秘伝のたれをおかけください」という張り紙も、不安を助長する。秘伝のたれを推しすぎてはいないか。
調理のときだけ顔を出すご主人
「香味焼そばランチデラックス」(800円)を頼むと、ご主人らしき人が姿をあらわす。市販の調味料を使わず、焼きそばを作ってくれたが、出したらすぐに奥に見えなくなってしまった。
旨そうだ。秘伝のたれを推してくるけれど、まずは何もつけずに一口。
塩コショウは強くなく、イカはコリコリしていて、噛み応えのある豚肉と食感が違う。添えてある大葉の香りもよく、混ぜる量で味が変わるから食べていて楽しい。
デラックスは豚とイカが2倍だから、食べごたえ十分だ。秘伝のたれをかけなくてもすっごくおいしい。
キャベツとタマネギの甘みが広がる。が、どうもそれ以外に何かの甘みがある気がする……
「秘伝のたれをたっぷりかけてね」
おばちゃんの声で甘みの正体を突き止めるのを忘れてしまう。
秘伝のたれはこんな感じだ。さらさらしたタレかと思いきや、底にとろみのある具が入っていたので、かき混ぜて大量の秘伝のタレをかける。
秘伝のたれは30年前からブラッシュアップ
ピリ辛だ。小さじ5杯くらいかけたけど、口の中はひりひりせず「熱い」。全身がぽかぽか暖かくなる。この焼きそばは秘伝のタレをかけて初めて完成らしい。確かにうまい。
タレのことを聞くと
「秘伝のたれだからね、秘密なのよ」と言ったあとに、
「30年前くらいに自宅で作っていてね、それを毎年磨き上げていたの。中にはからしと香辛料がはいっていて、十数種類の素材からできているの。魚介とか野菜の旨みもあるでしょ。あ、中にあるおこげみたいなものは焼いたタマネギよ。」
とかなり詳しく説明してくれた。秘密ではなかったのか?
先ほど気になっていた、焼きそばそのものの甘みの秘密も教えてくれた。
「本当は最初の焼きそばにも秘密のタレがかかっているの。これが本当の秘伝のタレなのよ。全てのベースになるものよ。こっちの秘密は教えられないけど」
なるほど、本当に大切なタレの情報は守っているのか。気になるぜ。
おばちゃんとの会話を楽しんでいたら、いつの間にか食べ終わっていた。口の中に旨みの余韻だけが残っている。
最後にコーヒーがくる。
甘みの強い、デザートのようなコーヒー
匂いが甘い。味もフルーツを連想させる甘さが最初に来て、すぐにすっきり抜け、最後にまろやかな苦みくる。ピリ辛で濃い味の焼きそばの後だからすっきりしたコーヒーがありがたい。コーヒーのこともおばちゃんが教えてくれた。コーヒーはココナッツの匂らしい。
おばちゃんのキャラがいいお店、もしくは、味がいいお店なら知ってるけど、どっちもいいはなかなか出会えない。
最後に小銭を渡すと「助かるわ、小銭がなくて自動販売機で崩してたのよ」と笑った後に、「このデラックスの方よね?」と商品を3回確認してきた。やっぱりキャラがいい。笑顔になる。
店を出ると、おばちゃんが話してくれた秘伝のタレの秘密が看板に書いてあった。でも、ベースとなるタレの秘密はここにも書いていない。
おばちゃんとの会話と、家庭とは一味違うプロの焼きそばが食べたい方は是非行ってみてほしい。秘伝のタレのかかった焼きそば、一度は食べてみる価値はあると思う。
そしてどなたか、ベースとなる秘密のタレに何が使われているかを解き明かしてほしい。
■店舗情報
店名 | 焼そばバル コロール |
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ジャンル | 焼きそば |
TEL | 092-406-5232 |
住所 | 福岡市中央区大名1丁目4-11 |
交通手段 | 地下鉄空港線 赤坂駅より徒歩8分 |
営業時間 | 11:30~14:30 17:30~24:00 |
定休日 | 不定休 |
