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料理も大将のお人柄も、愛すべき“博多の居酒屋” 一富(博多区中洲)

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  2017/04/20   ※記事公開時の日付です

愛してやまないお店があります。福岡の居酒屋で間違いなく一番好きな店。それが、中洲・人形小路に構えて50年以上になる「一富」です。

味のある店内で腕を振るうのは大将おひとり。焦りがちな人、急いでいる人、料理はちゃっちゃと出てきてほしい人には向きません。

なぜなら、下準備でのつくり置きはいっさいしないから。注文が入ってから魚を切り、わさびをすり、どれも一からつくるので、そりゃ、ちょっとは時間がかかります。しかも、4人テーブル×3、カウンター8人分の料理を一人でつくるのですから。

注文を済ませたら、ゆったりとした気分で料理を待つべし。ビンビールを2本あけるくらいかな。同行の友人やパートナーとじっくり語り合うにはちょうどいいものです。仲がさらに深まったあたりで珠玉の居酒屋メニューに出会えます。ちなみに、メニュー表に金額は明記してありませんが飲んで食べていつも一人5000~6000円ほどでした。
※飲む=ビンビール2本、日本酒2~3合ほど

まずは青ものからいこうか


一富は毎日、青ものに絞って仕入れているので、青魚は欠かさず注文を。写真のような刺身のほか、揚げ物、ごまあえ、タタキもあります。こちらは鯵刺身。とろーんとした食感、旨味がね、もう。

一富では「さばごま」です


博多名物としてあげられる一品。「ごまさば」ではなく「さばごま」です。ごまさば、という名の魚があるため、この名称になったのだとか。ゴマと醤油であらかじめ和えているものが多いなか、一富ではゴマのみで和え、食べる時に醤油にちょんとつけます。このほうが、素材をしっかりと味わえて、なるほど、いい。

ただサンドしただけではございません


ダイコンでレモンをサンドした「レモンサンド」。この大根とレモンの薄さが要らしく、少しでも厚すぎたり薄すぎたりしたら、お客さまには出さない徹底ぶり。簡単に見えて味わいのバランスは計算し尽くしているのです。

今、鶏をまるごと味わっている


これを食べないとしまりません。「若どりスープ炊き」。もも、ハツ、キモといったいろんな部位の鶏と鶏つくねが入っています。シメの雑炊を頼んで、スープをすみずみまで味わってほしい一品。ちなみに、一富うどんも、ソースカツごはんも良いシメなんですよ。いつも迷います。

と、グルメサイトらしく食についてご紹介してきましたが、一富に何度も行きたくなるのは、食に対して真摯で、いつも優しくユーモアのある大将のお人柄が大好きだから。お店を手伝っていらっしゃる奥様も素敵で、満席の時の対応も、忘れ物をして翌日電話した時の言葉も、何もかもが温かい。そろそろ中洲のお父さんとお母さんに会いに行きたいな。キープしているボトル、次であくな。

奥永智絵

ライター・エディター

福岡市で活動するライター・エディター。県内60店以上でカレーを食し、出張となればカレー屋を探し、ふつか酔いにも風邪にもカレーが効くと信じている。ほとんど毎晩飲んで過ごし、心惹かれるつまみは炙りもの、燻しもの、漬物。

■店舗情報

店名 一富
ジャンル 和食、居酒屋
TEL 092-281-5120
住所 福岡市博多区中洲4-2-24
交通手段 地下鉄中洲川端駅から徒歩3分
営業時間 18:00~翌1:00
定休日 日・祝日

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