
実直という言葉が似合いすぎる鮨屋 寿司割烹 「開」(中央区薬院)
ふと「きれいな鮨が食べたいな」と思ったとき、「開」の暖簾をくぐる。満席のこともあるし、そうでないこともある。予約がとれない店でもおかしくない実力を持ちながら、常連さんを大事にして、地道に営業を続けている、そんな感じが、とても好ましい。
カウンターに座り、ビールを注文すると、この日はイクラのしょうゆ漬けが出てきた。初物だと言う。味はそれほど濃くはないが、強く弾ける歯ごたえがおもしろい。
ネタケースはないので、肴はご主人に尋ねる。夏場のこの日、勧められたのはタマメ(クチミダイ)、シャコ、アジ。これにイカをお願いした。貝は良い品が仕入れられなかったそうで残念だったが、いつも魚についてそんなふうに誠実に話してくれるから、ぼくはご主人を信頼しているし、プロとして尊敬してもいる。
外連味なし、驕りなし、掛け値なし
そう言えば同じく薬院にある鮨店「安春計」(この名店についてはまたいずれ書こう)のご主人が「開とは柳橋連合市場で会うよ。良いものを仕入れようと、朝早くから出てきて熱心やね」と評していたことがあった。うん、食べてみると、その職人としての真面目さがわかります。
いつもはにぎりも好きなものだけ注文するが、この日は「適当に一人前」とお願いした。マグロの漬けの塩梅がいい。唐津のウニの旨味は、ぐるりと口中を巡った。車海老もしっかりと仕事がなされていて、一品一品が美しい。
この日の赤だしはタイの骨で出汁をとり、身は塩で水気を飛ばした後、片栗を振って、さっと湯通ししておいたものを、味噌汁と合わせたもの。けっして手を抜かないことなんて、ご主人にとってみれば「普通のこと」なんだろうけど。あ、そうそう、ご主人は春吉の「高玉」のご出身です。
ビール1本、酒「松本」を1号。ツマミとにぎりで1万円弱。文句なし。昼と夜で値段が変わらないのもいい。高級店の風情ながら日曜日も営業していて、ちょっと雰囲気が緩むから家族連れで利用しても安心なのもうれしい。
ライター
鶏肉屋の三男として生まれたせいで幼い頃から飲食店が近しい存在で、飲めるようになってからは一日も酒を欠かしたことはなく、立飲みから高級店まで、まあ図々しく呑み喰い語る日々。今日も反省なく喰らう、喰らう。
■店舗情報

店名 | 寿司 割烹 開 |
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ジャンル | 鮨、割烹 |
TEL | 092-771-2442 |
住所 | 福岡県福岡市中央区薬院1丁目12-19 ロマネスク薬院第2 1F |
交通手段 | 薬院大通駅から236m |
営業時間 | 11:30~14:30 17:00~22:00 |
定休日 | 月曜日 |
