
豚骨ラーメン番付、西の横綱「安全食堂」から寄り切られるぜ! 安全食堂(西区徳永)
県外から福岡を訪れた客人が、ぼくにとって大切な人で、「どこか旨いラーメンを食べに連れて行ってくれ」と言ったとして「うまく時間が取れたら」という条件が付くものの、人生の大半、40年ほどかけてまとめあげてきた「脳内博多ラーメンリスト」から、ぼくが第一に候補として挙げるのが、ここ「安全食堂」である。
時間が必要と書いたのは、福岡市の西の端のほうで、中心部からはちょっと距離があるのと、開店の11時前を狙うか、大きく昼時を外さなければ、長い行列に並ぶことになるからだ。まあ、それくらいの人気店、というわけである。
ラーメン(600円)に関してはあえて詳しく書かない。「なになにの骨を何時間かけて丁寧に抽出し……」みたいな、いわば「情報を食べるラーメン」と対極にあるのが、安全食堂だからだ。
スープは適度な濃度、適度な塩気、そしてちゃんと熱い。麺はごく一般的だけど、「普通」で注文して、ばっちりの茹で加減であがってくる。
チャーシューは普通の煮豚。提供の前に切るみたいなこともない。でも、ちょうどいい弾力。ネギはスープの臭み(これが美味しさでもあるわけだけど)を、ちょうど切ってくれる量。
どこをとっても特別ではないが、それらが見事にバランスしている点で特別なのである。
まあ、しのごの言わんで、食べてみんしゃい。これが福岡の人の愛するラーメンの、ひとつの解答です。オーソドックスです。横綱なんです。あなたもきっと、このシンプルながらも絶妙な塩梅のラーメンに、一気に寄り切られ、白旗を上げるに違いない。
安食の焼きめし問題を考える
さて、問題は「焼きめし」である。博多の人間は、とかくラーメンと焼きめしを一緒に食べたがる。「じゃあ、注文すればいいじゃないか」と、あなたはそう気軽に考えるかもしれないが、ちょっと待ってくれ。覚悟はあるのか。
まず値段を見よ。800円だ。おかしくはないか。ラーメン600円に対しての800円だ。具材? 豚コマ、カマボコ、タマゴ、青ネギといたってシンプルである。高級なものは何ひとつ入ってない。
あ、気づきましたね。そう、量がとんでもないのである。お茶碗3〜5膳ぶんくらいある。これをラーメンとともに楽々食べられるとしたら、あなたの性別がどうであれ、年齢がいくつであれ、「中学生男子」と認めようじゃないか。
面白い話がある。ぼくはこの店に通い始めて25年だが、そのさらに上をゆく「焼きとりの八兵衛」の八島且典さんは、来店歴30年以上の「安食大ベテラン」である。その八島さん曰く
「焼きめし少な目でと言い続けて30年以上でもあります。『遠慮せんでよかよか』と言われ続けて30年以上でもあります。少な目と言おうがなんと言おうが変わらぬ量で出てきます。そげな今流行りの小技はなかとです」
そう、これこそが安全食堂なのである。
チャンポン(750円)も、ほら、高い。値段じゃなくて、盛り付けが高い。野菜の切り方が雑、デシャップもいい加減。でもね、うまい。豚骨スープに野菜の甘みがとろり溶け出し、これもヤミツキの味。ただ、焼きめしと一緒に食べたら、もうとんでもなくすごい量で、ほんとに病むよ。ご注意を。
ライター
鶏肉屋の三男として生まれたせいで幼い頃から飲食店が近しい存在で、飲めるようになってからは一日も酒を欠かしたことはなく、立飲みから高級店まで、まあ図々しく呑み喰い語る日々。今日も反省なく喰らう、喰らう。
■店舗情報
店名 | 安全食堂 |
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ジャンル | ラーメン、定食 |
TEL | 092-806-2511 |
住所 | 福岡県福岡市西区徳永1059-1 |
交通手段 | 学研都市駅から徒歩10分程。 駐車場があるので、車で来てる方が多いです。 駐車場に係員はいません。 九大学研都市駅から419m |
営業時間 | 11:00~16:00(売切れ次第) ランチ営業、日曜営業 |
定休日 | 水曜日 |
