
フツーのラーメンの“そこそこ”の旨さは実は奇跡なんだね 長浜御殿(博多区美野島)
東京に住んでいた頃に食べたかったのは、「そこそこ旨い豚骨ラーメン」だった。洗練された豚骨ラーメンだったら、たとえば「博多 一風堂」に行けばいいし、他にもレベルの高い店はある。あるいは豚骨ラーメンのなんたるかを全然わかっていない、まずい店もある。でも、東京には「そこそこ旨い豚骨ラーメン」がないんだ。
具体的に言うならば、ここ「長浜御殿」である。驚くことも、特筆すべきこともない。ごくごく普通の、まっとうに作られた、いわゆる長浜ラーメンである。だから、福岡で暮すぼくたちは「一杯490円で、この味を楽しめること」が、いかに僥倖であるかを知らないのだ。いつ食べても、そこそこ旨い。その「そこそこ」に、ぼくはけっこう深く感動するのである。
激安ツマミのグレードの高さよ
もし、あなたが飲める口なら、さらにこの店のすごさに気付くだろう。ニンニクがばっちり効いた「ギョーザ」は280円だし、きちんと焦げ目のついた「とん足」はなんと230円である。焼酎は一杯200円。ここまで注文して、まだ710円だ。この点は「そこそこ」ではなく、「すんごく」安い。謝りたくなるくらいに。酒飲みのぼくは、深夜までダラダラと飲み食いして、ラーメンを食べるのを忘れて帰ってしまうこともしばしばだ。
この店に通うようになって30年近くが経つが、印象はほとんど変わらない。考えてみれば、それも奇跡的なことだろう。自分が暮らす街に「長浜御殿」が存在することに、ぼくたちはもっと感謝しなければならないと思う。
実は“あの人”が通う店
そうそう、最後に三つのことを言っておこう。オリックスバファローズの帽子をかぶった小学生はラーメン一杯がなんと120円だ。押しも押されもせぬ人気の高級居酒屋「田中田」のマスターは、住吉店の常連である。ぼく個人は長尾店もけっこう好きだけど、たまに塩気が薄いことがあり、その際は卓上の食卓塩で調整している。
ライター
鶏肉屋の三男として生まれたせいで幼い頃から飲食店が近しい存在で、飲めるようになってからは一日も酒を欠かしたことはなく、立飲みから高級店まで、まあ図々しく呑み喰い語る日々。今日も反省なく喰らう、喰らう。
■店舗情報
店名 | 長浜御殿 住吉店 |
---|---|
ジャンル | ラーメン、餃子 |
TEL | 092-473-7928 |
住所 |
福岡県福岡市博多区美野島1-5-1 |
交通手段 | JR/博多 博多駅から992m |
営業時間 | 10:00~翌3:00 ランチ営業、夜10時以降入店可、夜12時以降入店可、日曜営業 |
定休日 | 無休 |
