
抜群のコクとキレ、これぞ長浜ラーメンの究極「名島亭」 名島亭(東区名島)
今から30年ほど前、ラーメン店「長浜一番」で二人の青年が修行を積んでいた。後の「博多 一風堂」店主の河原成美さんと、「名島亭」の店主となる城戸修さんだ。二人は研究熱心で、様々なラーメンをともに試作する中で、友情が育まれていった。
河原さんはもともと「長浜ラーメンとはまったく違うラーメンをつくろう」と考えていた。だから、いわば“敵を知る”ために修行をしていたのだ。実際、一風堂が世に送り出した豚骨ラーメンは、それまでの常識を超えた独創的なコンセプトのラーメンだった。
それとは対照的に、城戸さんは長浜ラーメンの真髄を追い求めた。その答が現在の名島亭の味である。
スープは「築炉釜」と呼ばれる五右衛門釜で2日間かけてとる。87年の創業以来、継ぎ足し続けられているスープは、深みとまろやかさ、そしてキレの良さが特徴だ。麺は極細ストレート麺、トッピングはチャーシュー、キクラゲ、ネギと定番だが、たとえばネギは風味を活かすために手切りにこだわるなど、細部まで心を注いでいる。
豚骨レジェンドに遭遇したら……?
私見だが、博多の旨いラーメン店は、ことごとくアクセスが悪い。名島亭も中心部から外れた、わざわざ行かなければならない場所にある。で、わざわざ行ってしまう。悔しいけど、あの味が脳裏に浮かぶと、もう欲望を抑えることはできない。「普通の長浜ラーメンなんだけどなぁ」と口では言うものの、やっぱり普通じゃないから、「やれやれ」とため息をつきながら降参し、車のエンジンをかけてしまうのである。
あ、そうだ。ラーメンとは全然、関係のない話だけど、名島亭の店内には「ゲゲゲの鬼太郎」の絵が数枚飾ってある。「クッキングパパ」のうえやまとちさんの色紙が飾ってあるのは、第1巻に「名島亭」が登場しているからわかるのだけれど、なぜ鬼太郎なのだろう。
あるとき、ぼくは城戸さんに直接聞いてみた。「ん? 鬼太郎? 好きだから。えっ? 元木さんも好き? 握手、握手」。こぼれる笑顔、笑顔。博多の豚骨レジェンドは、どこまでも気さくな人である。もし出会うことがあったら、必ず話しかけてみてほしい。ハッピーになりますよ、間違いなく。
ライター
鶏肉屋の三男として生まれたせいで幼い頃から飲食店が近しい存在で、飲めるようになってからは一日も酒を欠かしたことはなく、立飲みから高級店まで、まあ図々しく呑み喰い語る日々。今日も反省なく喰らう、喰らう。
■店舗情報
店名 | 名島亭 |
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ジャンル | ラーメン |
TEL | 092-662-3566 |
住所 | 福岡県福岡市東区名島2-41-7 |
交通手段 | 西鉄貝塚線名島駅から徒歩6分 西鉄バス「名島」停留所から徒歩5分 都市高速名島ランプより車で5分。 名島駅から375m |
営業時間 | 11:00~21:00(売切れ仕舞いあり。早いときは~18:30) ランチ営業、日曜営業 |
定休日 | なし |
